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1,000件を超える特許候補の確認を効率化。Agentiqsで構築する特許抵触調査の仕組み ~ループはプログラム、判定はAIと人~

· 9 min read
DC Agentiqs CS Team
カスタマーサクセスチーム

導入前の課題​

特許調査では、製品の技術要素を整理して候補を検索し、一次スクリーニングで詳細確認が必要な候補を絞り、二次スクリーニングで製品の仕様や構造と照らし合わせていました。

特に負担が大きかったのは、一次スクリーニングでの確認と記録です。担当者は特許情報を一件ずつ読み、製品に関係する技術か、明らかに異なる技術分野ではないかを確認します。さらに、後から判断を検証できるよう、結果と理由をExcelへ記録する必要がありました。

対象は1,000件を超えることもあり、一次スクリーニングだけで約12人日を要していました。量産開発や機能追加に伴い、特許調査が年間数十回発生する場合もあります。調査のたびに膨大な件数の確認と記録を繰り返すため、一回の負担だけでなく、年間の累積工数も課題でした。

Agentiqsで構築した仕組み​

今回の取り組みの中心は、特許の内容を理解して分類するAIの処理を、1,000件を超える候補に対して繰り返し実行する仕組みです。AIに候補をまとめて渡し、分類と処理の進行をすべて任せると、一部の候補を飛ばしたり、最後まで処理しきれなかったりするおそれがあります。

そこでAgentiqsのワークフローを使い、対象を順に処理する制御はプログラムに、製品の設計情報と特許の内容を照らし合わせる役割はAIに分けました。
Agentiqsでは、設計ナレッジの取得、AIエージェントによる判定、Excelへの書き込みを、順次実行やループ処理と組み合わせ、一つのワークフローとして定義できます。

本事例では、Excelの特許候補を一件ずつAIで判定し、結果と理由をExcelに記録するワークフローを構築しました。この処理を自動で繰り返すため、人が候補ごとにAIへ情報を入力したり、判定結果を転記する必要がなくなりました。

大量の候補を処理するため、AIとプログラムの役割を分ける​

処理の入力には、製品の技術要素をもとに検索し、Excelにまとめた調査対象の特許一覧を使います。技術要素の整理では、仕様書や設計書、ソースコードからAIが候補を挙げ、設計者が確認・修正しました。

この候補一覧を一行ずつ処理するため、設計ナレッジの取得やPythonスクリプト、AIエージェントの呼び出しを、順次実行とループ処理でつないでいます。
下の画像は、今回構築した「Agentiqs特許判定」の実際のワークフローの画面です。

Agentiqs特許判定の実画面。設計ナレッジ取得、対象行抽出、行ごとの関係性判定と結果書き込みをワークフローに定義
今回構築したワークフローの実画面。中央に処理の流れ、右側に「関係性判定」のAIエージェント設定を表示しています。

画面上の処理は、次のように組み立てています。

  1. 判定の準備をする
    「判定条件を初期化」で分類候補と集計変数を初期化し、「Agentiqs設計ナレッジ取得」で製品の設計・特徴・対象範囲などの情報を取得します。AIが特許との関係を検討する際に参照する情報を用意します。

  2. 処理する行をプログラムで抽出する
    「対象行抽出」のPythonスクリプトが、指定されたシートで特許の詳細が記載された列を読み取り、処理対象の行一覧を作成します。先に対象を一覧化し、その各行を「行ごとの判定」のループへ渡します。

  3. 一行ずつAIで判定し、結果と理由を書き込む
    ループ内の 「関係性判定」が、その行の情報と設計ナレッジを照合して製品との関係の有無を判定し、結果をJSON形式で返します。続く 「判定結果を書き込み」のExcel書き込みツールで対象行の判定結果と理由の列に書き込みます。この組み合わせを対象行ごとに繰り返します。

  4. 処理結果をまとめる
    ループ後の「処理結果をまとめる」で、最終的な更新件数とメッセージを設定します。一件ごとのAI判定から、書き込み、処理結果の集計までを一連の手順にしました。

内容の理解はAI、対象行の管理と繰り返し・書き込みはプログラムが担います。Agentiqs上でそれぞれの処理を繋げることで、候補の取得からAIによる分類、結果の記録までを自動で繰り返せるようにしました。

判定理由を残し、人が品質を確認しやすくする​

ワークフローでExcelに記録した判定結果と理由は、人が妥当性を確認するために使います。候補と理由を同じ行で確認できるため、AIが何を根拠に判定したのかを追いやすくなります。

対象外と判定した候補についても、人が「技術分野が異なる」「製品で該当する構成を使用していない」といった理由を確認します。結果をそのまま採用せず、理由を検証できる出力にすることで、人による品質確認を支えます。

詳細確認が必要な候補には、AIが特許の要点や製品との比較で確認すべき項目を整理し、設計者の読解を支援します。特許抵触の最終判断は、設計者や知的財産部門の担当者、必要に応じて専門家が行います。

特許判定結果の例
特許判定結果の例。分類と理由を明確に記載します。

導入後の効果​

AIによる効率化に、処理対象の抜け漏れを抑える仕組みと人による品質確認を組み合わせ、次の効果につなげています。

  • 1,000件規模の確認・記録作業を効率化
    本事例の条件では、前後工程のAI支援も含め、人の作業工数は1回あたり125時間から18時間へ、約100時間の削減になりました。年間5回実施した場合、年間約500時間の削減に相当します。

    1回あたりの特許調査における工数削減の内訳

    以下は、一次スクリーニングのワークフロー化に加え、技術要素の抽出と二次スクリーニングのAI支援を含む、1回あたりの実績です。

    ステップ従来Agentiqs活用後削減
    技術要素の抽出8時間3時間5時間
    一次スクリーニング96時間6時間90時間
    二次スクリーニング支援17時間7時間10時間
    結果整理・仕組みの再利用4時間2時間2時間
    合計125時間18時間107時間
    ※削減時間はAIの実行時間ではなく、人の作業工数を示しています。年間の削減時間は、1回あたりの削減を約100時間に丸め、年5回実施する条件で算出した概算です。

    削減の中心は、一次スクリーニングの90時間です。

  • 大量の候補でも、対象を抜け漏れなく処理
    ワークフローで対象行を一件ずつ順に処理することで、今回の調査対象すべてについて、AIによる分類と判定結果の記録を完了しました。

  • 人は、判定理由の確認と詳細な技術判断に集中
    定型的な判定や結果の記録をAIとワークフローが担うことで、人は製品の設計や構造に踏み込んだ確認・判断に注力できるようになりました。

まとめ​

本事例でのAgentiqsの価値は、プログラムによる処理の制御とAIによる判定を、一つのワークフローに組み込めることです。候補の取得から分類、結果の記録までをつなぎ、大量の対象を順に処理しながら、人が判定理由を確認できる仕組みを構築しました。

大量の情報を一件ずつ確認し、根拠を残す業務にも応用できる進め方です。繰り返す確認や転記に負担を感じている方は、DC Agentiqsの評価版で、ご自身の業務への適用をお試しください。

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